クーデルカ 仲良し修道院探索01 ゲームとして
ゲームとしては色々微妙なところがあるが、ムービーの美しさ・ゴシックホラー的雰囲気や怪しさ・キャラクターの魅力など見るべき点は多い。あと敵クリーチャーの動きが最高級にキモイ。あとクーデルカがカワイイこととパーティーの仲が悪い。
ストーリーの舞台はイギリスのネメトン修道院。この場所に様々な因縁から集まってきた人々によって物語は展開する。
とりあえずゲームとしてのまとめを。
◆システム
探索型RPG。ストーリーは終始ネメトン修道院内にて進行する。探索中はランダムエンカウントしコマンド選択式の戦闘に移行する。道中はキーアイテムの利用や仕掛けを突破する必要がある。
ちなみに探索中は怪しいところに近づくとクーデルカが視線を向けるなどのアクションを取ってくれるらしいのだが、私は一切気がつかなかった。海外っぽいつくりの割りにオーバーなアクションとか取らないんだよね。まあ支障はないけど。
アイテムは拾えるものも勿論あるが、戦闘によってドロップするものも多い。装備品や弾薬の入手はこちらに頼ることになるだろう。ドロップ率は低くないので、特定物品を狙いでもしなければ困ることはそうない。序盤はきついが。
アイテム取得の際にHP吸収や火属性などの付加効果が付く場合がある。また強力な一品物がいくつか存在する。
レベルアップすると振り分け用のポイントが4点入手でき、8つの能力に配分することで成長する。HP上昇にはVIT・MP上昇にはPIEに振る必要があるので、特に序盤はしっかり振っておきたい。魔法寄りを1人、物理寄り(壁)を2人にすると楽。
レベルはさくさく上がる(適正レベル少し上くらいまでなら2~3回の戦闘で上がる)ので、ボスに勝てないようならセーブポイント付近でレベル上げに励もう。その際は魔法で始末することを推奨する。
セーブは特定ポイントで行えるのだが基本的にボスを倒して解放する必要がある。セーブポイントは無制限に全回復できる場所でもある。
乱暴に言えばRPG寄りのバイオハザード。あっちはゾンビでパニック、こっちはクトゥルーとゴシックホラーというところか。
◆戦闘
戦闘に入ると7*7のバトルフィールド移行する。タクティカルな要素がありそうだが、ゲーム中に気にする必要はほぼない。
敵の最前列がいる横ラインには入れないことと複数範囲に攻撃できる手段があるということくらい認識すればいいだろう。
攻撃手段はナイフや斧などの近接武器と銃などの射撃武器、更に魔法(霊能力)が存在する。
魔法の入手はストーリーの進行で自動的に行われる。魔法に関しては詠唱時間が必要になる。
全ての攻撃手段には熟練度が存在し、武器は熟練度が上がると1回の行動で連続攻撃が可能(最大3回)。
魔法は威力は変わらないが効果範囲が増大するもの(ヒーリング、属性攻撃)、逆に効果のみ上昇するもの(フォース系)がある。
特殊な用件として武器には耐久度が存在し、そのうち壊れてロストする(通常は30回ほど。レアアイテムは100回ほどはあるようだ)。射撃武器は壊れないのだが、弾薬の制限がある。
HP,MP吸収などの強力な付加効果のあるものはボス戦用に取っておき、どうでもいいドロップ品を道中や熟練度稼ぎに使用するといい。
ちなみに装備して魔法を使う分には一切耐久度は減らないので、魔法寄りのキャラに魔力増加の装備を持たせて魔法をブッパしていれば道中は楽に進められる。
◆シナリオ・ホラー要素・BGM
基本的にゴシックホラーでありモンスターデザインはクトゥルー的な感じ。
戦闘時のクリーチャーの嫌悪感を呼び起こすモーションや効果音は一見の価値あり。
また人間の狂気性や悲哀を際立たせる演出やシナリオはホラー一辺倒ではなくキャラの魅力もあいまってゲーム進行の原動力となる。
特に館に存在する凶悪な少女霊シャルロッテとの絡みは素晴らしい。2通りの結末があるので是非どちらとも見ていただきたい。
BGMは非常に出来がいい。私はゲーム製作者と音楽に疎いのでアレだが担当は「菊田裕樹」氏。公式ホームページにはクーデルカについての資料が記載されている。
荘厳な雰囲気を感じさせ、戦闘などは焦燥感をかき立てる感じが良。
◆ムービー
非常に美しい。見た目の綺麗さ、動作の滑らかさなど今見ても遜色ないものである。ストーリー上の重要な場面で挿入され臨場感が増す。
WIKIによるとゲームとして初めてリップシンクが導入されているらしい。
キャラクターによる演技シーンもあり、これが声優(英語)のおかげもあり良い出来である。キレた動作や酔っ払ってグデンとなる動作は中々笑える。
◆まとめ
純粋にゲームとしてみれば微妙ではある。戦闘関連の足引っ張ってる感がある。
熟練度を増すために武器を振る必要があるのに振っては壊れるし、熟練度が上がって連続攻撃するとまた壊れるし。
パラメータ関連も少々煩雑だ。かとおもえば数回戦闘するだけでレベルアップする。魔法を鍛えておけば楽ではあるが、詠唱時間があるので1手で処理するということもしづらい。全体的に大味な調整だ。
しかし戦闘は必要な要素であるとも思える。奇怪な生物に襲い掛かられること、その脅威や嫌悪感を感じるために動作と相まってストーリーやホラー要素の演出として機能していると言えよう。
とにかく作品全体の雰囲気が怪しく幻想的であり、19世紀のイギリス・ネメトン修道院という近代性と怪奇性が入り混じったものを感じさせる。そのくせキャラクターは人間的で活き活きしており古臭さや陰気さを感じることは無い。
美麗なムービーも作品を盛り上げ節目でキッチリ締める重要な要素として機能している。
ゴシックホラーとか人の心の闇とか幻想怪奇譚とかが好きな人にお勧め。ゲームとしてのアラは寛容な精神で見逃して(つまらないわけでは決して無い)、エンディングまでプレイすれば上質な海外映画を見終えたような余韻を味わえるであろう。
このクーデルカとシャドウハーツという作品には関わりがあり、シャドウハーツにはクーデルカの息子が出るそうな。シャドウハーツは未プレイなんでやってみてえなー。