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 午後3時の魔法 感想

「午後3時の魔法」 
垣野内 成美 講談社 アフタヌーンKC


とあるところに病院がある。それは古い洋館で白髭の医者が一人、診療を行っていた。
薬も注射もなにもいらない、暖かい手と声で魔法のように病を癒していた。
いつからか休診されたその病院には妙な噂がある。幽霊が出ると。

あるとき進路に悩みを抱えた青年がこの病院に迷い込む。もう誰もいないはずのこの館に、看護婦がいるではないか。しかもレトロな格好で。
不審を覚えつつも、休んでいくことを勧められて温かい紅茶をいただきながら話すことにしたのであった(看護婦さんも可愛いしね)。
館の大きな時計は今、3時を刻んでいる。






とても暖かく、じんわりと沁みる優しい物語である。
一応いっておくと、医療物ではなくファンタジーである。
物語は「看護婦(ナイチンゲール、白衣の天使)」と、そこに「病(苦悩)」をもって迷い込む人物たちによって展開される。

来訪者と看護婦の会話とその解決、そして病院に関わる過去の断片的なストーリーが語られていく。
来訪者たちは少なからず関係があったり、話をまたいで登場する場合もある。

看護婦は非常に可愛らしい。かつての白髭の医者のように、午後3時という魔法の時間に紅茶とお菓子と会話で、まさしく魔法のように治していくのであった。(ホントに魔法のようなことをする描写もあるがいいだろう。白衣の天使だし)
「患者」となるゲスト陣はバラエティ豊かである。思春期の少年やら子育ても終わるくらいのお母さんやらで、その悩みも大半は私的というか誰でも持ちうるようなものである。それだけに解決に向かっていく姿は決して劇的ではないが、心に迫るものがある。

基本的に一話完結のスタイルなのだが、看護婦とも関連する大きいストーリーのためにも是非、単行本で一気に読むことを勧める。
「ああ、よかった」とホッと一息をつけるお話である。



   

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