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 スノードーム(小説) 感想 それって愛ですやんか

スノードーム 

アレックス・シアラー (著)
石田 文子(訳)
求龍堂

「あらすじ」Amazonより→


ネタバレしつつ書かないと感想書きづらいのでそういうことで。
作者は一頃流行った気のするチョコレートアンダーグラウンドの作者さんだそうです。(読んでない)







文章は読みやすく、現実世界であるプロローグとエピローグ・物語世界で当然雰囲気はがらりと変わるのですが、構成が上手く章末から次章へのつなぎが非常に気を持たせてくれます。


クリストファーがこだわる謎の研究はストーリー上は重大な要素ですが、難しいことは書いてないのでSF的な部分は無いといってもいいでしょう。


何が起きるかというのは予想できる範囲ですが、とにかくエックマンの屈折した心情とそれによって引き起こされる行為、幼クリストファーとの時に穏やかならぬ交流が見どころです。


ストーリー展開の重きにおかれているのは間違いなくエックマンですが、エックマンが動いてしまうのは他三人の関係の中に「愛」を、多分手に入れられないものを見出してしまうからでしょう。


なんだかどうしようもなくて辛くて、それでも幸せかあるいは希望を見つけて、割り切れないものを捨てられるわけでもなく抱えながらやるだけやってみる。そんなお話かなと。


小中学生くらいでも読める内容でしょうけど、楽しめるのは多感な高校~大学生かそれなりに社会経験を経た後の人間と思われます。


エックマンの心情に今一噛み合えない人は読んでも楽しめないかな~





以下はざっくりあらすじ。




多分、物理学研究所的なところにお勤めのチャーリーさん。
堅実に研究して働いているらしいです。


「秀才」なんてやつらを横目に見ながら、そーいう連中はすぐに挫折していなくなるんだぜへへん、といいながら面倒な秀才クリストファーくんの面倒を見ています。
だって面接したから担当しなきゃだしね!


いうだけあって有能ではあるらしいクリストファーですが、小汚いスノードームに異常な執着をもっており、また<光の速度を遅くする。闇の速度を追い求める。>という研究テーマを抱えています。


そんなことは不可能と諭すのですが、クリストファーは<実際それは可能である。そしてその現象を可逆にすることを求めている>と述べてはばかりません。


で、ある日クリストファーは消えます。執着していたスノードームを残して。
彼も今まで見てきた「秀才」と同じく挫折に耐え兼ねたと判断しながら部屋を片づけるチャーリーなのですが、整理しているうちに自身にあてられた手紙と読んで欲しいという「物語」を発見します。


ばかばかしいと思いながら一応読んでやるのですが…



ページの大半はこのクリストファーが綴った物語に割かれていきます。

物語中の登場人物は
・幼少のクリストファー(父と二人暮らし)
・クリストファーの父であり似顔絵で生計を立てるロバート(現実では突然失踪)
・ぜんまい仕掛けで踊る人形のパフォーマンスを行うポッピー
・醜い小男(せむし?)ながら精巧で微小な芸術品を作り出せるエックマン

観光業が盛んな小さい町を舞台として展開していきます。


クリストファーは賢いながらも所詮は子供。
ロバートは世間的な評価を得られておらず生活は苦しいながら子供は愛しています。
ポッピーは少々奔放なところがあり、気ままに過ごしながらもロバートと親密な関係を築きつつあります。


ここに絡むのがエックマン。
特異な技術力によってそれなりに裕福に暮らしていますが、その容姿により世間から蔑みを受け心に昏い影を抱えています。
ポッピーに惹かれ幾らかは近づくものの友情以上のものは得られず、クリストファーとロバート(といずれはポッピー)との間にある親子愛も手に入らないだろうことを確信してしまいます。


ポッピーがその性格のままに?町から消えてしまったことを契機にクリストファー(とロバート)とエックマンの関係が大きく変わることになるのです。


   

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